オプション取引 入門編 004

カバードコール

コールオプションを売る場合、購入者に買う(コール)権利を与える事になります。株価が上がり権利を行使された場合、売るべき株を所有していなければ値上がりした高い株を購入し安い価格(権利行使価格)で売らなければなりません。(またはその差分を支払う)事前に株を所有しておくことで、その損失を防ぐ(カバーする)戦略です。

原資産(株式)とコール売りの各々の損益線

原資産とコール売りの損益線
コールオプション売りの損益構造

コールオプション売りの損益構造

  1. プレミアムの受け取り: コールオプションを売る際、売り手はプレミアムを受け取ります。このプレミアムが初期の利益となります。
  2. 権利行使価格未満の場合:
    • 基礎資産の価格が権利行使価格よりも低い場合、コールオプションは行使されず、売り手は受け取ったプレミアムをそのまま利益として保持します。
  3. 権利行使価格以上の場合:
    • 基礎資産の価格が権利行使価格を上回ると、買い手がオプションを行使する可能性が出てきます。この場合、売り手は基礎資産を行使価格で売る義務が生じます。
    • 売り手が被る損失は、基礎資産の市場価格と行使価格の差に相当します。つまり、基礎資産の価格が上がるほど、売り手の損失が増加し、損益線が右下に下降していきます。

損益線の形状

  • プレミアム分の利益: 権利行使価格よりも下では、売り手は受け取ったプレミアム分だけ利益を得ています。
  • 損失の発生: 権利行使価格を超えると、基礎資産の市場価格が上昇するたびに損失が発生し、最終的には損益線が右下に向かって下降していく形になります。

まとめ

このように、コールオプションの売りの損益線が権利行使価格を上回ると右下に下降するのは、売り手が実際に被る損失を反映したものです。これは、オプション取引におけるリスクを示す重要な要素です。

合成したカバードコールの損益図(満期時)

赤のラインが損益を表す線です。原資産価格が権利行使価格に到達した時点で利益は頭打ちになります。

カバードコールの損益図
Q
オプション取引の戦略について、カバードコールの方法と、そのメリットデメリットについて知りたい
A

カバードコールは、オプション取引の戦略の一つで、特に株式投資と組み合わせて使用されます。この戦略の基本的な考え方は、保有する株式に対してコールオプションを売ることです。以下に、カバードコールの方法とそのメリット・デメリットを説明します。

カバードコールの方法

  1. 株式を保有する
    最初に、特定の株式を購入します。この株式がカバードコールの基盤となります。
  2. コールオプションを売る
    保有している株式に対して、特定の行使価格と満期日を持つコールオプションを売ります。これにより、オプションのプレミアム(価格)を受け取ります。
  3. オプションの結果を待つ
    満期が来たときに、以下のいずれかの結果が発生します:
    • 株価が行使価格を上回った場合:オプションは行使され、株式は購入者に渡されます。この場合、利益はプレミアムと株式の売却益から得られます。
    • 株価が行使価格を下回った場合:オプションは行使されず、株式は手元に残ります。この場合はプレミアムが利益となります。

メリット

  • 収入の増加
    コールオプションを売ることで受け取るプレミアムは、保有株式からの追加収入となります。
  • ダウンサイドヘッジ
    株価が下落した場合でも、プレミアムによって損失を部分的にカバーすることができます。
  • 株式を保有し続ける
    株式が自分のポートフォリオに残るため、長期的な成長を期待できます。

デメリット

  • 利益の上限
    株価が行使価格を上回った場合、利益はプレミアムと行使価格までに制限されます。さらなる上昇益は得られません。
  • 株価下落のリスク
    株価が大幅に下落した場合、プレミアムだけでは損失を十分にカバーできないことがあります
  • 管理の手間
    オプション取引には注意深い管理が必要で、特に満期日や行使価格の選択に難しさがあります。

このように、カバードコールは安定した収入源を提供しながらも、利益が制限されるという特徴があります。投資戦略として活用する際には、自身のリスク許容度や市場状況を考慮することが重要です。

Q
「保有株式からの追加収入となります。」これはどういう意味?
A

カバードコール戦略を用いることで得られる収入のことを指しています。具体的には、以下のような意味があります。

  1. プレミアムの受け取り
    コールオプションを売ると、オプションの購入者からプレミアム(価格)を受け取ります。このプレミアムは、売却したオプションに対する報酬です。
  2. 株式の保有
    自分が既に持っている株式に対してオプションを売るため、株式を売却することなく、そのまま保有し続けます。
  3. 追加の利益
    オプションを売ることで得たプレミアムは、株式から得られる通常の配当金などに加えて、新たな収入源となります。これにより、株式投資の収益が増えます。

このように、カバードコール戦略を利用することで、株式保有から得られる利益を増加させることができるという意味になります。

Q
つまり、保有している原資産価格(保有している株の価格)が上昇し、権利行使価格を上回った時に得られる総合的な利益(株の差益とプレミアム)と、株価が下落してしまった場合の総合損益(差損からプレミアムを差し引いた損益)を比較した時に有利になりやすいと考えて良いか。
A

その通りです。カバードコール戦略を利用することで、以下のように利益と損益を比較することができます。

株価が上昇した場合

  • 利益
    株価が権利行使価格を上回った場合、株の差益(株価の上昇分。権利行使価格が上限)と受け取ったプレミアムを合計した額が利益となります。具体的には以下のようになります: 利益=(売却価格−購入価格)+プレミアム利益 = (売却価格 – 購入価格) + プレミアム

株価が下落した場合

  • 損益
    株価が下落した場合、株の差損(購入価格と現在の株価の差)から受け取ったプレミアムを差し引くことで、総合的な損益を算出します。具体的には以下のようになります: 損益=プレミアム−(購入価格−現在の株価)損益 = プレミアム – (購入価格 – 現在の株価)

このように、カバードコール戦略を用いることで、上昇時には利益を増やし、下落時には損失を部分的に軽減できるため、有利な状況を作りやすいと考えられます。ただし、市場の動きや株式の特性によって結果は異なるため、慎重な判断が必要です。

これだけを見たら無敵な戦略のように思えるが、予想以上に大きな下落があれば損失は大きくなる。やはり優位性を享受するには、適した銘柄選択と長期運用をする事(長く持つという意味ではなく、長期間繰り返し取引をする)が必要だろう。

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